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2007/01/23

宮部 みゆき 「模倣犯」 長いよっ!!なかなか面白かったけどね。

え~、ここ最近は、宮部 みゆきの「模倣犯」を読みながら、帰宅後・休日の時間を過ごしておりやした。
う~んとね、長いです、長すぎまする。
途中、ちょっとゲンナリしちゃった。全5巻中4巻位で。
そして、この記事も長いぞ^^

正直言うと、もう少し登場人物を削ったりすれば、短く出来たんじゃなかろうか。
とも思ったりもしたんだけどね、この作品に込められた幾つかのテーマを表現する為に、純粋な物語として必要性の薄い(と俺が勝手に感じた)登場人物が、そういう意味では作者・作品にとっては必要なんだろうな。ってのは、読んでる最中も感じてたので、白けたりしないで最後まで読めたかな。

犯人像(志向性・価値観)としては、そんなに意外性があった訳では無いし、時代背景と照らし合わせても、色んな衝撃的な犯罪がザクザク出てくる現在では、特別に目新しいものでも無いと思う。
でも、だけど、面白かった。
物語の組み立て方が非常に上手いと思うし、「読後にどんな事を感じて欲しいか」というか作者の主張というか、ま、そういう着地点が登場人物の役回りや台詞なんかで暗に示されてて、そこに向かって巧みに誘導されてるからなんだろうな。って思った。
人物像も、かな~り掘り下げられてるし(その所為で長いけど^^)

で、ごたくを並べてるけど、実際に、読後に俺が感じた事は・・・
犯罪者にならなくて良かった。だった。
以下、かなり長くなる上に、多分に嫌味ったらしい事が綴られますので、ご注意を。吐き気を感じた方は即刻読むのを中止して下さいますよう^^
でも、過去の話だからね。あくまでも)

何をやっても、そこそこ器用に出来る、勉強も出来るし(かと言って真面目な訳でも無くというか、真面目一辺倒の人間と一線を画しつつ)、見た目も悪くない、むしろ、そういう所もしっかりと気にしてて、サービス精神もそれなりにあって、異性から好意を告げられることも多々ある。
良くも悪くも渦の中心に自然となってて、自分に注目が注がれてるって事が自然になってるし、周囲を引き込む・もしくは押さえつけるエネルギーを他者よりも持ってて、自分に興味を持ってる人間が誰なのかも的確に嗅ぎ分けられる。(詳しいお話は何度か書いてるけどね

そんな奴が、ちょっと他人と違う感性だった場合、
例えば、小さい事でも、周囲の人達と比べて、カッコ良いなと思う物、許せないと思う事柄、傷つくポイント、そういうもの全部ひっくるめたバランス感覚etc...が真逆だったり、微妙にずれてたりの積み重ね・・・
でも、そんな自分が、多くの好意や若干の反感を持たれたりしながら、渦の中心にいて必ず「反響」が返って来る。
小・中・高・大と、取り巻く環境や箱が変わったり大きくなったりしても、それが変わらない場合。
且つ、自分の感覚が他人と分かち合えた経験が、極端に少ないと、自分では思ってる。

そうすると、心の中で・・・
俺は、こちら側を知ってる。
そして、自分と違う、多くのあちら側の人達の当たり前の考え方も知ってる。
でも、あちら側の人達は、こっちの感じ方(の存在そのもの)を知らない、気付けない。

つまり、こちらはあちら側を知ってるけど、あっちはこちら側を知らない。
双方向では無い、こちらの方が多くの事を感じ取れてる在り方。
そして、こっち側にいる少数派の人間達は、常に、多数決の論理でこちらの世界に主導権が取れない。
多くの事が見えてるのはこっち側の人間なのに、うやむやに丸め込みながら物事が進行しないと生きていけない能力の無い人達の、悪意の無い、それでいて人数に頼った嘘臭い価値観の押し付け を呪う気持ち

みたいなのが、発生したりしてさ。
そして、そんな部分も他人にはアーティスティックに映ったりして、それがまた人を巻き込む要因の一つになってたりなんかしてね。

勿論、酷く傲慢で、独りよがりで、幼稚すぎる位に幼稚で、他人の人生・命をそれとして扱ってない非人間的な感じ方。だよね。

ある程度の箱になると、程度に差はあれ、一人はいる(かもしれない)タイプですわな。
ともかく、それがどんなに認められなくても、青くても、今思い起こせば「穴があったら入りたい」と心底思うようなものでも、当時の俺の、偽りの無い感じ方だったんよね。

俺は、幸運な事に、高校に入学してからバンドを始めたのがきっかけで、ROCKっていう自己表現の方法に出会えた。
本当に、幸運だったと思う。

そういう自分の持て余してるエネルギーや心の闇の部分(大げさだけどね^^)や自分自身の過剰な役回りなんかを唄にぶつける事・そして曲を作る事で形にして、それを<大衆>(模倣犯で、この言葉はキーワードなので)の目前に曝け出して、且つ多くの人に好意的注目をされる事で、「自分の抱えてる何か」に市民権を持たせて、多数決の論理を逆転してやる。
そんな、ヒネくれたコンプレックスみたいな事を、当時はこういう風に的確な言葉を当て嵌められなかったけど(というか、消化出来たんで言葉に出来てるんだろうけどね)、心の底で感じてたんだと思う。
特に、自我が強くなるに連れてね。

自分の中の何かを、「何かを作る事」でやり遂げようとした。偶然だけどね。
でも、たまに思ってた事というか、恐怖に感じてたのは、
もしかして、いつか、俺は、今の表現方法に煮詰まった時に「何か・誰かを壊す事」で、人が嫌悪したりする事を平気でやってのけて、それを衆目に晒す事で、
「お前等、そっち側のヌルイ世界なんて、社会的な力の全く無い、心無いガキ一人の、言葉に出来ないほどの苛立ちのエネルギーだけで、覆されるような脆いもんなんだって見せ付けてやるよ」、そんな事をやっちまうんじゃないだろうか。

そして、こういう事を考え始めた自分みたいな奴が、煮詰まって、想像力に負けて、それを実行しちゃうんじゃないか。
ってね、ちょっと怖かった。
犯罪者予備軍みたいなね(笑)←いや、笑い事じゃ無いよね。

でも、幸い、俺は、視点は捻くれてても、正面から物事に挑む性質を持ってるのでね(当社比)、
しっかりと表現手段を間違えずに、そしてその過程で、自分で言うのも何だけど、上手く(簡単にでは無くね)自分と向き合ってたと思う。


かなり話しが長くなったけど、宮部みゆきの「模倣犯」の犯人は、
秀でてる自分の能力と他人の目に映る自分を熟知しつつ、「ショッキングな事件を、犯人が大衆(作中の犯人の言い方ね)の為にプロデュースする」事で、
そして、日本全国民が受け手で自分だけが唯一の発信者である構図に酔う為に、犯罪を実行する。
大雑把に言うと、だけどね。

それは、さっき書いた過去の自分像を、もっともっとスケールを大きくして、理知的で魅力的にして・・・とにかく、自己陶酔のアホさ加減と自己を正当化する言い訳が、源泉が、ちょっと似てるような気がしたのね。

俺は、犯罪者にならなくて良かった。と、本当に、素直に感じた。
それは、罰が下るからでも、他人の命を奪うのは良く無い事だっていう、当たり前の事から来る物でもなく(全く無いとは言わないけど)、物語を読んで被害者の立場に立てたからでも無い。
だって、犯罪を犯す奴にとって、それはブレーキにならないんだと思うんだよね。
だから、やるんだから。

認識を、命を破壊した残骸を見せ付けて、それを表現と称する事は一番低俗なものだと思ったから。
というか、↑適切な表現じゃないね。
そんなものは表現じゃないどころか、表現への冒涜だ。
勿論、命に対して、一番の冒涜だ。
それは、今は(割と)素直に思えるよ。
改めて、それを心から実感した。当たり前の話だけどね^^

だから、いつか俺は・・・って、ちょっと怖かった頃の事を思い出した訳よね。
そんな事を、かつて感じてた人達。
“己”を意識してからの時間の積み重ねが短いが故に、そして他人と自分の間にある溝に絶望的になるが故に、かつての俺と似たような思いを抱いてる若人やなんか。
この本は、色々、考えさせられる。
いや、そういうタイプの人間を揺さぶる力を持ってると思う。し、そういう造りになっている。
感じれる力があるのなら、ね。

でも、それは、もしかしたら、俺はもう消化出来てるから、健全な解釈・受け取り方が出来ただけ。なのかも知れないけど。

この本で、作者は何を言いたいのか?
もしくは、どんな世界感を表現したいのか?
読書する時に必ず念頭に置いている、学校の国語のテストで出そうな言葉だけどね。

この本で作者は何を言いたいのか?
作中の誰のどの台詞に、登場人物の成長・変化に、どこにその思いを込めたのか。
実に、楽しくというか、興味深く読めた、全5巻でしたわ。

でもね、長い(笑)
そして、俺も。

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